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映画「エフゲニー・オネーギン」の映像

YouTubeでロシア映画版の「エフゲニー・オネーギン」の映像を見つけた。ハイキン指揮&ボリショイ劇場、ティホーミロフ監督のソビエト映画「Yevgeni Onegin」(1958)らしい。これをみるとボリショイ・オペラの古典的な演出を髣髴させるものがある。

 再生回数をみると、予告編は別として、手紙の場が入った「clip 2」が圧倒的に多い。

Eugene Onegin, Russian movie
■trailer (バック音楽は「ポロネーズ」)3:17


clip 1 (第1幕第1場)9:52
ラリーナ家の庭先 オリガの独白〜レンスキーのアリオーソ


clip 2 (第1幕第2場)9:09
タチアーナの部屋 手紙の場


clip 3 (第2幕第1場)6:07
ラリーナ家の舞踏会 間奏曲と合唱つきワルツ


clip 4 (第2幕第1場)8:47
ラリーナ家の舞踏会 レンスキーとオネーギンの口論 あなたがたの家で
まいじょ * オペラ * 18:27 * comments(0) * trackbacks(0)

ボリショイ・オペラ「エフゲニー・オネーギン」

6月24日、ボリショイ・オペラの来日公演、チャイコフスキー 「エフゲニー・オネーギン」 (東京文化会館)を観てきた。
エフゲニー・オネーギン
 ボリショイ・オペラというと、豪華で伝統的な舞台を想像していたが、舞台装置はきわめてシンプルでモダンだった。「スペードの女王」では2階レベルで舞台を横断するブリッジが、「エフゲニー・オネーギンでは巨大な楕円のテーブルが、それぞれ舞台の中心に据えられ、重要な役割を果たしていた。それに照明がすばらしく効果的だった。舞台横からの太陽光を思わせる光源はLEDだろうか。

 チェルニャコフの演出は、時代を現代におきかえていたが、時代を変えたことで損なわれるものはあまり感じなかった。この物語に描かれたような男と女のすれ違いは、誰でも似たような経験をしているので、時代や国を超えて、人々の心をとらえるのだろう。

 プレトークで、チェルニャコフは「大勢いる中の少し離れたところにタチアーナがいることで、タチアーナの孤独感を表したかった」と言っていた。後半では、オネーギンがなかなかテーブルにつけないことで、やはりオネーギンの疎外感を表したのだろう。このようにテーブルは社会のシンボルなのだ。このあたりの演出はとても良かったと思う。

 前半(第1幕・第2幕通しで約2時間)と後半(第3幕:1時間弱)の間のタチアーナの変化(孤立→社交的、地味→優雅)はすごい。グレーミン公爵との結婚、田舎から都会へといった環境の変化だけで、あんなに変身できるものなのか。もしかしたらオネーギンに振られたことがタチアーナの精神的成長のきっかけになったのだろうか。

 このオペラの正統な見方はタチアーナに同情し、「オネーギン、ざまーみろ」で終わるのだろうが、私はあえてオネーギンにシンパシーをもって鑑賞してみた。すると、終幕近く、タチアーナの「私と醜聞をおこして、あなた有名になるつもりなの?」という台詞など、結構きつく感じた。そこまでいうか。タチアーナの成長は、ある意味で社会のいやらしさに染まった結果であるのかもしれない。

 「スペードの女王」よりも「エフゲニー・オネーギン」の方が歌がなじみやすいせいか、音楽監督のヴェデルニコフ指揮によるオケは歌をより良く聴かせることに徹していたように思う。

 それにしてもロシアの劇場の合唱団は馬鹿騒ぎを演じるのがうまい。盛り上がりや驚きのピークでの、歌による人々の叫び声は強烈だった。あんなでかい声の人たちと居酒屋で同席したらたまったものではない。

【スタッフ】
演出 : ドミトリー・チェルニャコフ
指揮 : アレクサンドル・ヴェデルニコフ
【キャスト】
タチアーナ : タチアーナ・モノガローワ
エフゲニー・オネーギン : ウラジスラフ・スリムスキー
レンスキー : アンドレイ・ドゥナーエフ
グレーミン公爵 : ミハイル・カザコフ

【参考】

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まいじょ * オペラ * 22:48 * comments(0) * trackbacks(0)

ボリショイ・オペラ「スペードの女王」

 6月21日、ボリショイ・オペラの来日公演、チャイコフスキー 「スペードの女王」 (NHKホール)を観てきた。

スペードの女王

 いやはや、本当に素晴らしかった。まず、オケの音がいい。チャイコフスキーの甘くせつないメロディを上品に奏で、本物のロシアの音が聞けた。ボリショイのオケは3チームくらいあるらしいが、その中から、プレトニョフが「スペードの女王」の指揮を引き受けるにあたって厳選したメンバーを中心に今回の来日メンバーが決まったようだ。

 NHKホールの2階席は、今回の「スペードの女王」を観るにはベスト・ポジションだった。舞台に設けられたブリッジで歌われる場面が多かったのと、プレトニョフの全体に気を配った細かな指示がよく見えたからだ。

 プレトニョフは、ピアニストとしてしか知らなかったが、ソ連崩壊以降、ロシア・ナショナル管弦楽団の結成に関与し、指揮者としても活躍しているらしい。オペラの指揮は「スペードの女王」が初めてというが、それが信じられないくらい、歌とオケをぴったりと合わせていた。

 ソリストでは、ゲルマン役のガルージンが素晴らしかった。悶々とする役なので、テノールとしてはやや低めの音域が多い演目だが、ドラマッティックなところとリリックなところの両方をうまく使い分け、多面的・分裂症的な主人公を上手に演じていた。身分違いで高値の華のリーザをものにしたいという純粋な思いと、一攫千金をねらいどんな手をつかってもカード賭博に勝ちたいという狂気と、この二つが一人の男に同居していたことに、まったく不自然な感じがしなかった。

 伯爵夫人のオブラスツォーワも圧倒的な存在感だった。死ぬ直前の昔を思い出すアリアなど、寒気がするくらい、魅きこまれた。歌う場面は少なかったが、演技だけの登場場面が多い今回のプロダクションでは、彼女が「要」であることがよくわかった。

 カーテンコールではなぜか涙が止まらなかった。ありがとう。

【スタッフ】
演出 : ワレリー・フォーキン
指揮 : ミハイル・プレトニョフ
【キャスト】
ゲルマン : ウラディミール・ガルージン
トムスキー伯爵(ゲルマンの友人) : ボリス・スタツェンコ
エレツキー公爵(リーザの婚約者) : ワシリー・ラデューク
伯爵夫人(リーザの祖母) : エレーナ・オブラスツォーワ
リーザ(伯爵夫人の孫娘) : エレーナ・ポポフスカヤ

【参考】


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まいじょ * オペラ * 20:03 * comments(0) * trackbacks(0)

オペラ「カラ兄」来日決定

 来日中のボリショイ・オペラの有料パンフレットの末尾に、2011年のマリインスキー・オペラ来日公演の予告が載っていた。
時代を見据える
巨匠ゲルギエフが放つ次なるメッセージ!
マリインスキー・オペラ
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
Mariinsky Opera, St.Petersburg
2011年2月
スメルニコフ
カラマーゾフの兄弟、他

 スメルニコフでなく、スメルコフなんだけど...

 ああ、夢にまでみたオペラ「カラマーゾフの兄弟」の来日公演がついに決まったのだ。亀山郁夫先生は、6月13日に行った講演(東京外国語大学公開講座)で、このことを話している(*1)ので、ゲルギエフとの二人の間ではかなり前から話はできていたものと思われる。

*1 フェリーチェ的幸福な生活
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まいじょ * オペラ * 09:48 * comments(1) * trackbacks(0)
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