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大野雄二トリオ

 5月27日の土曜日、杜のホールはしもとで「Anniversary & Encore」というライブを聴いてきました。
 この催しは、これまでこのホールが続けてきた「ジャズセレクトシリーズ」の10回目、オープン5周年を記念したスペシャルイベントです。これまでのシリーズでアンケートの結果、リクエストが多かったミュージシャンに再び集まってもらったそうです。
#1 the MOST
 多田誠司(as ss fl)、大坂昌彦(ds)、上村信(b)、石井彰(p)
#2 Special Session
 越智順子(vo)、川嶋哲郎(ts ss fl)、石井彰(p)、安ヵ川大樹(b)、大坂昌彦(ds)
#3 Yuji Ohno Trio
 大野雄二(p)、俵山昌之(b)、村田憲一郎(ds)

 3つのパートの中で、私が最も気に入ったのは、最後の大野雄二トリオの演奏でした。Softly, As In A Morning Sunrise(朝日のごとくさわやかに)やFly Me To The Moon(フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン)といったスタンダードを、ピアノ・ベース・ドラムスという最もシンプルなトリオで、オーソドックスに演奏しているだけなのですが、なぜか心に深く染み入ってくるのです。

 パート1「the MOST」の激しさ、パート2のボーカルを含む「スペシャルセッション」の華やかさもそれぞれ良かったですが、この日私が求めていたのは、大野雄二トリオが与えてくれたような安らぎだったのです。

 会場が大ホールだったためアンプを使うのはやむをえませんが、全体を通して少しボリュームが高すぎました(これは今日のライブに限らず、最近のホールは音がでかすぎます)。近いうちに、もう少し小さなホールかライブハウスで、大野雄二トリオをあらためて聴いてみたいと思います。
まいじょ * 音楽 * 00:28 * comments(0) * trackbacks(0)

上田力 & Nanda Nova - Jobim My Love

 5月21日の「Jobim My Love」のライブ会場で購入しました。
上田力 & Nanda Nova - Jobim My Love
 パーソネルは、上田力(key)、池田雅明(trombone)、松崎義一郎(fagot)、古屋栄悦(b)、吉田和雄(ds, perc)。

 プロデュースは、上田力と吉田和雄。アレンジは、上田力。

 生の演奏ももちろん最高ですが、バランスが調整されたCDの音はやはり安心して聴けます。今だと直前に聴いたライブの編曲や演奏との微妙な違いも分かって、二重に楽しめました。

 特に気に入ったのは、9曲目のBoto(イルカ)。「Urubu」の収録曲ですが、「Terra Brasilis」から「Antônio Brasileiro」に至るエコロジスト、ブラジル人としての側面が強く現れた作品です。上田さんのアレンジは、多重録音で吉田さんのドラムスとパーカッション、ビリンバウ、鳥笛などの民族楽器を幾重にも重ねて、面白い曲に仕上げています。天国にいるJobimもこういう演奏を聴くと参加したくなるでしょうね。
JUGEMテーマ:Bossa Nova


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まいじょ * 音楽 * 15:30 * comments(1) * trackbacks(0)

Jobim My Love 37th

 5月21日の日曜日は、上田力とナンダ・ノヴァの「Jobim My Love」37thを聴きに、新大久保「Space DO」に行ってきました。

Jobim My Love

 上田力とナンダ・ノヴァによるジョビン全曲演奏「Jobim My Love」プロジェクトは、1997年6月からスタート、今回で37回目のライブとなります。このプロジェクトのねらいについては、岩切直樹著「愛と微笑みと花」の第4部「上田力さんが取り組んでいることに」に詳しく述べられています。

 この本を読んだり、岩切さんのブログ「三月の水」に掲載されている過去のライブのレポートを読ませてもらって、ぜひ行きたいと思っていたのがやっと実現しました。

 客席数120ほどの会場はほぼ満席で、だいたい8割は女性で、しかも若い方が多いのがちょっと意外でした。

 パーソネルは、上田力(key)、池田雅明(trombone)、松崎義一郎(fagot)、古屋栄悦(b)、吉田和雄(ds, perc)、黒沢綾(vo)。

《曲目リスト》
01 - Samba de Aviao
02 - Agua de Beber
03 - Garota de Ipanema
04 - Insensatez
05 - Manha de Carnaval
06 - A Felicidade
07 - Pato Preto
08 - Medley (Meditacao ~ Amor Em Paz ~ Dindi)
09 - Falando de Amor
10 - Samba de Uma Nota So
11 - Boto
12 - Jobim My Love
encore - Antonio's Song


 さて感想ですが、上田さんの編曲がおしゃれで、吉田さんの刻むリズムはばっちり、全員の息がぴったりと合って、期待どおりの素晴らしい演奏でした。特に、トロンボーンとファゴットの2本の管楽器がこのバンドの特色で、池田さんと松崎さんのダイアローグがとても面白かったです。

 欲をいえば、まず選曲が有名な曲やJobimのアルバムに収録されている曲ばかりで、期待していた初耳の曲や珍しい曲が演奏されなかったことが残念でした。上田さんは「初めてのお客さんへの配慮から有名な曲を必ず何曲かプログラムに入れるようにしている。無名な曲は、アレンジや演奏しても面白くないものが多い」と言っていました。でも、プロジェクトの趣旨からすると、もっと無名の曲の紹介に比重をおいてもいいと思います。

 次に、メンバーにシャイな方が多いせいか、観客とあまり目を合わせようとせず、演奏する楽しさや喜びをあまり表に出さないため、観客が躍動するようなライブ感が乏しかったことです。たとえば Boto のイントロで、せっかく吉田さんがビリンバウでのせようとしているのに、他のメンバーが不慣れな打楽器を扱うことに照れているのか、しっかりと音を出さず、ここちよいリズムになっていませんでした。

 またヴォーカルの黒沢綾さんは、静かなボサノヴァとシャウトするジャズで別人のように声を変えていましたが、どちらも中庸でいった方がいいと思いました。

 最後にオーディエンスにもケチをつけると、この手の音楽になじみのない人が多いせいか、ほとんど誰もリズムにのろうとしないし、そのために躍動するようなライブ感が生まれなかったという気もします。アンコールのAntonio's Songなど、客席からも歌声が出ておかしくない名曲だと思うんですけど、おとなしかったですね、皆さん。

 次回は8月20日だそうです。楽しみにしています。
まいじょ * 音楽 * 23:40 * comments(3) * trackbacks(0)

タイタニック

 ジェームズ・キャメロン監督が、タイタニック号の悲劇を壮大なスケールで映画化した超大作です。こういう映画を作れるところがハリウッドのすごさですね。

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 キャメロン監督はいいます。
 映画作家として私はいつも、劇場の観客と画面の登場人物とのあいだに、広い意味での「一体感」を創り上げることを心がけてきた。そのために必要であれば、どんなことでもやってきたつもりだ。私は『タイタニック』でも同じ方法で、現実に起こった「歴史的事件」を扱ってみたかった。充分に納得できるような感情や状況を通して、同様の「一体感」を創り上げることができるかどうか、試してみたかったんだよ。
ジェームズ・キャメロン著『タイタニック シナリオ写真集

 上の船首でレオナルド・ディカプリオケイト・ウィンスレットが抱き合うシーンは、その直後に息を呑むような場面転換となります。船首はゆっくりと、海底に眠る残骸の船首に重なり合い、溶け込んでいきます。二人は少し遅れて、ゆっくりと時間をかけて消えていきます。まるで幽霊のように。
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 もう一つ効果的な場面転換は、ディカプリオがウィンスレットをスケッチしているシーンの終わりで、若い娘から老女にモーフィング転換するところです。同じ登場人物が時間を越えてつながっていること、若いときの燃えるような熱情を、老女となった今でも変わらず持ち続けていることがこちらにも伝わってくるのです。
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 そういえば、ウィンスレットを実際にスケッチにしているのは、キャメロン監督本人の手だそうです。ディカプリオは右利き、監督は左利きのため、画像を左右反転させて作ったということです。シナリオ写真集に何枚か収められた絵コンテもすごく上手です。

 キャメロン監督は多才なだけでなく、人間社会への洞察が鋭いです。
 この速度問題で皮肉なのは、船の速度を落としていたら、船客から苦情が殺到しただろうということなんだよ。タイタニック号の船旅は、流行最先端であると同時に、速度でも最先端というのが「売り」だった。みんな飛ぶような速さの船旅に期待して、乗船チケットを買ったんだ。それをあとになって、スピードの出し過ぎは非常識だの、やれイスメイが悪いの船長がだらしないのと、あと知恵ばかりめぐらして、責任のなすり合いをする。もし速度を上げたことが氷山衝突につながったとしても、それはイスメイや船長といった個人の責任じゃない。ホワイト・スター汽船の船員士官と船客たちの共同責任だよ。両者は一緒に肩を組んで、砂上楼閣を作って、その上にあぐらをかいていたんだ。責任の半分は船客たちにあるのさ。しかもこれは当時だけじゃない。今の私たちだって、どこかで同じことをしているに決まっている。「タイタニックの惨劇」が教えてくれるメッセージとしては、イスメイが速度を上げるように言ったのかどうかなんてことより、よっぽど興味深いと思わないか。
ジェームズ・キャメロン著『タイタニック シナリオ写真集

 この発言を読んで、JR福知山線の脱線事故を起こした責任についてあらためて考えさせられました。
JUGEMテーマ:名画


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まいじょ * 映画 * 17:03 * comments(3) * trackbacks(5)

和田誠「シネマ今昔問答・望郷篇」

 今年のGWの連休は、近くの温泉に日帰りで行ったほかは、家でだらだら過ごしました。

 休み中に読んだ本の1冊が和田誠さんの「シネマ今昔問答・望郷篇」です。「シネマ今昔問答」の続編ですが、「続」とか「パート2」でなく、「望郷編」としたところがいかにも和田さんらしいですね。

シネマ今昔問答・望郷篇

 前半は正編の続きで、古今東西の映画を和田さんのこれまでの人生に重ねて語っていきます。イラストレーターとして、映画のタイトル・ポスター・音楽などに関わっていく中で、多くの映画人とも親しくなっていきます。

 後半は監督としてデビューしてからの映画作りのエピソードです。初監督作品「麻雀放浪記」が生まれるきっかけはこうです。

 ある晩、和田さんは角川書店の人たち何人かと酒場で飲んでいました。同席していた角川春樹さんは「和田さんはいろんなことするけど、ほかに何かやってみたいことがありますか」とたずねます。
で、ぼくは咄嗟に「映画のシナリオ」って言ったんですよ。「例えば?」ってきかれて、「麻雀放浪記」って答えた。そしたら角川さんはすぐに「書いてみてください」って言った、これが始まりです。

 シナリオの第二稿ができた段階で、角川さんは「監督もやらないか」と言い出します。
ぼくは上に余白のある原稿用紙を作ってそれに書いていて、上のスペースには絵を入れていた。このカットはこんな構図で撮ったらいいな、というような絵です。ヴィジュアル人間としては物語と共に絵が浮かぶし、その絵によって会話が想像できる。いくら原作に忠実と言っても原作の会話をそのまま書き移すことをしているわけじゃない。自分の絵によって自分のセリフが出てくることもあるんですよ。結構細かく描いちゃった。結果的にそれが絵コンテのように見えたんでしょう。で、角川さんは「これだけ明確に絵柄まで考えてるんなら、自分が監督するしかない。ほかの監督がこの絵の通り撮ることはないから」と答えた

 「麻雀放浪記」をはじめとする和田監督作品をぜひ観てみたいと思いました。 
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まいじょ * * 22:39 * comments(0) * trackbacks(1)

イヴの総て

 演劇界の裏側の人間模様を描いたドラマで、同じく映画界の内幕を暴露した「サンセット大通り」とともに一大センセーションを巻き起こしたそうです。
イヴの総て
 ブロードウェイの大物女優マーゴ(ベティ・デーヴィス)のもとに、マーゴの熱烈なファンだという若い女性イヴ(アン・バクスター)が現れます。夫を戦争で失ったというイヴの身の上話に同情して、マーゴはイヴを「付き人」に雇います。

 若くて、美人で、聡明なイヴに対し、寄る年波に肌の衰えは隠せず、傲慢で気品のかけらもないマーゴ。この二人を見比べたら、誰だってイヴを応援したくなるし、男だったら惚れるはずです。私だってコロッといきました。

 でも、純情そうに見えるイヴの顔の下には、恐るべき野心が秘められていました。自分がスター女優になるという目的のためには手段を選ばず、人に取り入り、人を陥れ、人を裏切るのです。

 この映画を観て、外見で人を判断してはいけない、特に若い女性の尊敬のまなざしに気を許してはいけない、ということを学習しました。その教訓がたたきこまれたせいか、先日この映画をあらためて見たときは、イヴよりもむしろマーゴの方にシンパシーをもちました。

 マーゴは、女優としての才能を見出されたイヴに嫉妬して、自分の恋人の演出家にまで疑いをかけます。
「安心できないわ」
「結婚したら安心するかい?」
「無理に結婚しなくてもいいわよ」
「いろんな理由を付けて断るね。今日は一体どうした?」
「分からないわ。何となく腹が立って…」
「分かってて言いたくないんだろう」

 男と女がもめるとき、素直になれなくて、本当の気持ちとは逆のことを口走ってしまうことってありますよね。そんな微妙な心理を、ベティ・デーヴィスが実にうまく演じていました。
JUGEMテーマ:名画


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まいじょ * 映画 * 18:16 * comments(6) * trackbacks(8)
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