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さよならをもう一度

 イヴ・モンタンイングリッド・バーグマンは、ふたりとも離婚経験者で、つきあって5年になる中年カップルです。お互いに相手を束縛しないというルールで、住まいも別々、それぞれ自立した生活を営んでいます。同棲も結婚もしないのは、プレイボーイのモンタンにとっては都合のいい関係ですが、バーグマンには孤独と不安をかかえる毎日でした。

さよならをもう一度

 そんなバーグマンの前に現れたのが、金持ちのどら息子で若い弁護士のアンソニー・パーキンス。15歳も年上のバーグマンに一目惚れして、猛烈にアタックします。上の写真は、たまたま街でみかけたポスターをみて、「ブラームスは好きかな?」とコンサートに誘っているところです。

 そういえば、この映画、原作はフランソワーズ・サガンの「ブラームスはお好き」だそうです。映画の中で、アレンジを変えて何度も流れるのが、ブラームスの交響曲第3番の第3楽章。ロマンの極みともいえる名曲です。

 バーグマンは、新しい恋人パーキンスと古い恋人モンタンの二人にはさまれて、揺れ動きます。でもこの映画に出てくる男って、どうしようもないダメ男ばかりなんです。パーキンスは、自立心とか勤労意欲とか責任感とか欠如しています。モンタンも、若い女と寝ることしか楽しみはないようなスケベ親父で、自分勝手な男です。

 紆余曲折の末、バーグマンは、元のさやにおさまってモンタンと結婚することになり、同棲していたパーキンスに別れをつげます。

「君は彼のひと言に負けた。“お願いだ”。でも僕は精一杯やった。誇りに思うよ。僕がいたから君は彼と結婚を決意した。僕の役回りはキューピッドだ」

 部屋を出ていくパーキンスの背中に向かって、バーグマンは叫びます。

「I am old! I am old! I am old! I am old!」

 男二人が魅力を感じないだけに、よけいにバーグマンが引き立てられました。観ている人の99.9%が彼女の味方となったでしょう。冒頭のシーンと最後のシーンが、ほとんど同じであることが、彼女にとって一層つらいことであることを知っている観客にとっては、何とも悲しいラストシーンでした。 
JUGEMテーマ:名画



goo映画さよならをもう一度
1961年 アメリカ
監督:アナトール・リトヴァク
IMDb
Goodbye Again


まいじょ * 映画 * 13:10 * comments(11) * trackbacks(3)

コメント

TB&コメント有難うございます。
「サイコ」のマザーコンプレックス男というイメージが強いアンソニー・パーキンスが、なかなかイイ演技をしていたなぁ…と思います。バーグマンが微妙な女性の心理を繊細に演じていて良かったですねー。ラスト、結局不幸せな彼女が可哀想になりました。
Comment by ぶーすか @ 2006/10/09 7:13 AM
コメント&TB&アドヴァイス、ありがとうございました。
当方からのTBはハジかれましたので下に載せさせていただきました。

若い頃、先輩の女性から聞いた話を思いだします。
〜年下の男性に好かれる女性というのは、その女性自体が未成熟なんですよ〜
ズッキンと来ましたよ。
私、年下の男性と付き合っていた頃でしたから。(笑)

http://blog.livedoor.jp/vivajiji/archives/50850152.html#comments
Comment by viva jiji @ 2006/10/09 8:05 AM
ぶーすか さん
アンソニー・パーキンスって、マザコンとか年上の女にぞっこんといった役が似合っていますね。演じる人物は好きになれませんが、演技はうまいと思います。
Comment by まいじょ @ 2006/10/10 9:15 AM
viva jijiさん
>私、年下の男性と付き合っていた頃でしたから。(笑)
年齢差がある年上の女性が年下の男性と恋愛したり結婚したりすると、どうして女性の方が白い目で見られるんでしょうね。逆だと、男は羨ましがられることはあっても非難されることはあまりありません。
シェークスピアも、年齢差のある年上の男が年下の女に教える姿は美しい、とかいう言葉を残しています。
不公平ですね。
Comment by まいじょ @ 2006/10/10 9:33 AM
TBさせて頂きました。
サガンが描く大人の恋。
26歳の女性から見た物語。
元の鞘に納まるところが・・古風なんでしょうか?
Comment by kju96 @ 2006/10/13 3:07 PM
こんんちは。
クラシック音楽がとりわけ好きなので、映画ではとくに気になります。
キューブリックはとくに使用法が上手い。とくに凄いと思ったのが
「バリー・リンドン」の音楽。通奏低音のように使われるシューベルトの
ピアノ三重奏曲D929の第2楽章は運命の歩みを象徴する究極の選曲でした。
あともうひとつ、ブラームスが上がっているので、映像とブラームスの
音楽のあまりの融合ぶりにしびれまくったのだがルイ・マル監督の
「恋人たち」で流れるブラームスの弦楽六重奏曲第1番の第2楽章。
恋に耽溺するイメージそのままのあまりにロマンチックな映像と曲。

Comment by kabumasa @ 2006/11/07 3:26 PM
kabumasa さん
映画にあったクラシックが使われているとうれしいですね。
ヴィスコンティ「ベニスに死す」のマーラーの交響曲第5番第4楽章がもっとも合っていると思います。
キューブリックは、ステレオが大嫌いで、映画に使う音楽もわざわざモノラル録音したものを使っているそうです。どうしてそこまでこだわるのか、意味がよくわかりませんが...
Comment by まいじょ @ 2006/11/08 6:15 PM
映画の方はまだ見ていませんがブラームスの作品が好きなもので音楽の方は、馴染みがあります。勿論原作も読みました。プジョーの車を所有しています。法律の勉強もしていて年上の女性とも・・・。ただ、ラストが悲しいのでまねはしくないですね。
Comment by プジョー @ 2007/03/22 3:10 PM
始めまして、cafe MAYAKOVSKY から、ここにお邪魔しました。これから、時々、寄らせていただきます。

私は、バーグマンの映画では、「さよならをもう一度」が一番好きです。

バーグマンは、スウェーデンからハリウッドに招かれ、単なる神聖な美しい女優(かつ、愛と幸せな家庭と名声を送っていた)を演じていたが、飽き足らず、スキャンダルの火中に飛び込み、イタリアへ行き、3人の子供も儲けながら、女優として挫折し、やはり、華やかなハリウッドに戻った「女優という仕事のためには家庭と子供さえ犠牲にしかねない野心と意志を秘めた女性」であった、と思います。

最後の主演の「ゴルダと呼ばれる女」は未見ですが、その前の、監督イングマール・ベイルマンの要望で、故国スウェーデンに戻って出演した『秋のソナタ』(娘と対立するピアニストの母親を熱演、絶賛を浴び、自他ともに満足する最高の演技を披露)は観ました。
晩年になっても、母としての心もあるが、しかし、芸術家でもあり続けたいとの意志を心で演技できる彼女は、彼女の人生そのものだったかもしれませんが、その演技は女優の鏡でもあったと思います。
<私の好きな女優・・・イングリッド・バーグマンについて (http://mohariza06.exblog.jp/ )>より

Comment by mohariza @ 2007/11/10 4:21 PM
mohariza さん、ようこそ。

イングリッド・バーグマンは、大好きな女優のひとりです。「カサブランカ」「誰が為に鐘が鳴る」「白い恐怖」「凱旋門」など最盛期の彼女も最高ですが、後年の「サボテンの花」「オリエント急行殺人事件」でも年齢に応じた存在感のある役をこなしています。「秋のソナタ」は未見ですが、この秋に観ようと録画してあります。

ところで、mohariza さんは、ガウディにお詳しいようですね。ガウディのお話は、そちらでさせていただきます。
Comment by まいじょ @ 2007/11/12 10:14 AM
私のブログへの投稿有難うございました。
後年の「サボテンの花」は未見ですが、確かに「オリエント急行殺人事件」は、年齢に応じた存在感のある役をこなしていたと思います。
(この頃の男優では、「さよならをもう一度」で共演したアンソニー・パーキンスと、ショーン・コネリーだと思います。)
バーグマンは、女優として、一本、芯が通っていると思います。
Comment by mohariza @ 2007/11/12 10:30 PM
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