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セントラル・ステーション

 父親探しの旅に出る少年と、同行する熟年女性の心の交流を描いたロードムービーで、ブラジルのウォルター・サレス監督のデビュー作です。この映画は、ロバート・レッドフォードが主催するサンダンス・インスティテュートとNHKの協賛による新人監督の登竜門「シネマ100・サンダンス国際賞」の支援で制作されたそうです。

セントラル・ステーション

 リオデジャネイロの中央駅で代筆業を営むドーラ(フェルナンダ・モンテネグロ)は、まったくひどい婆さんで、客から預かった手紙をほとんど投函せずに捨ててしまうような、ズルイ女です。客から問いただされても、ふてぶてしくごまかします。
「手紙は本当に着いているのか」
「この国の郵便は信頼できないし、引っ越したのかも」
「なるほど」

 そこに客として現れたのが、10歳くらいの少年ジョズエ(ヴィニシウス・デ・オリヴェイラ)を連れた母親で、田舎に離れて暮らす夫への手紙をドーラに託します。しかし、その母親はまもなく駅前で交通事故で亡くなり、ジョズエは身寄りのない、ストリート・チルドレンとなってしまいます。

 ある日、駅構内の売店から商品を盗んで逃げた若者が、捕まえた警官によってその場で射殺されるというショッキングな事件が起きます。それをサレス監督は、まったく説明抜きで、ごくありふれた日常として淡々と描くのです。でも、この事件がジョズエの行く末を暗示するようで、何だかとても心配になりました。

 ブラジルでは、ストリート・チルドレンは、およそ人間としての扱いをうけておらず、1993年の「カンデラリア虐殺事件」のような痛ましい事件が起きたこともありますし、2000年には映画「バス174」に描かれたようなストリート・チルドレンによる事件も起きています。



 ドーラはジョズエを怪しい組織に託して法外の報酬を受け取ります。でも、どうもそれが臓器目当てにストリート・チルドレンを商品として扱う児童売買の闇組織らしいと聞いて、自責の念からジョズエを救い出します。こうしてドーラは、行きがかり上しかたなくジョズエを父親の元に連れて行くことになりました。

 それで少年と熟年女性の珍道中が始まるのですが、ブラジルはあんなに広い国なのに長距離の移動はバスなんですね。途中のドライブインで出会ったトラック運転手の初老の男にドーラは老いらくの恋をし、慣れない口紅までつけてせまりますが、あっさりとふられてしまいます。涙を流す姿は醜いですが、誰しもシンパシーを感じるところです。

フェルナンダ・モンテネグロ

 そんなドーラを優しくいたわるのが、少年ジョズエでした。年の割りに利発だとは思っていましたが、まさかあれほど上手になぐさめるとは。二人が互いに心を通わすのはそれからです。相手の悲しみや痛みにシンパシーを感じるかどうか、人間のつきあいって、これにつきるのではないでしょうか。

 音楽を担当した一人、ジャキス・モレレンバウムは、晩年のアントニオ・カルロス・ジョビンのファミリーバンド「バンダ・ノヴァ」のメンバーのチェリストで、奥さんのボーカリスト、パウラ・モレレンバウムとともに、坂本龍一と3人で結成したユニット「Morelenbaum2/Sakamoto」でも魅力的なパフォーマンスをしている人です。淡々として余計な説明のないこの映画で、音楽も少し控えめながら、とても重要な役割をしています。 
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goo映画セントラル・ステーション
1998年 ブラジル
監督:ウォルター・サレス
IMDb
Central do Brasil


まいじょ * 映画 * 00:30 * comments(13) * trackbacks(10)

コメント

まいじょさ〜ん。

viva jijiさんとこで、「ブルームーン〜」のコメントありがとうございました。そうですね、荻島さんでしたね。思い出しました。それと、浅茅陽子も。浅茅さん好きだったんですよ、「雲のじゅうたん」から。楽しかったですよね、二人の吹き替え。

「ニノチカ」。500DVD買ってるんですが、棚の上で眠ってます。記事アップしたらTBさせていただきます。

「セントラル・・」と関係ないコメントでスイマセン。
Comment by 十瑠 @ 2006/10/02 11:06 AM
TBありがとうございました。
ブラジルの社会問題を背景に人間性の回復を暗示した秀作でした。南米発の「グロリア」的作品ですが、宗教色がかなり強いのが印象的ですね。
此方からもTBさせて頂きます、また宜しくどうぞw。
Comment by lin @ 2006/10/03 12:26 AM
まいじょさん、こんにちは。
TB、コメント、どうもありがとうございました(^^*) さっそくこちらにビューンと飛んで来ました。

>音楽を担当した一人、ジャキス・モレレンバウムは、晩年のアントニオ・カルロス・ジョビンのファミリーバンド「バンダ・ノヴァ」のメンバーのチェリストで、奥さんのボーカリスト、パウラ・モレレンバウムとともに、坂本龍一と3人で結成したユニット・・
 こちらで初めて知ることが出来て、とてもお勉強になりました♪音楽関係にもお詳しいのですね!!

私はこの映画、人間臭くて胸に染みる内容、映像、音楽、風景など全部好きで、お気に入りの映画です^^
Comment by latifa @ 2006/10/03 5:08 PM
十瑠さん

ニノチカが500円ですか。絶対お買い得だと思いますよ。時間ができたら、ぜひご覧になって下さい。記事を楽しみにしています。
Comment by まいじょ @ 2006/10/04 12:47 AM
lin さん
「グロリア」も面白そうな映画ですね。あらすじを読むと、観たことあるかもしれません。
代筆屋というのは、告白や懺悔を聞く牧師と似たところがあるのかもしれません。トラックの運転手も、ボランティアで巡回牧師のようなことをやっているのですね。宗教色が強いというよりも、キリスト教が空気のようにあたりまえの世界をありのままに描写したものと...
Comment by まいじょ @ 2006/10/04 1:06 AM
latifaさん
ブラジル音楽は私のお気に入りの音楽です。
「Morelenbaum2/Sakamoto」の「Casa」は特におすすめです。
http://myjo-movie.jugem.jp/?eid=31
Comment by まいじょ @ 2006/10/04 1:11 AM
TBとコメントをありがとうございました。
ドーラ役の女優の存在感と子役のコンビが良かったですね。
目の当りが似ているのと、毒気の部分も出せるかなあということで、沢村貞子さんを思い出しました。


Comment by henry @ 2006/10/04 12:01 PM
訪問ありがとうございました。
静かに胸を締め付けるモノがありますね・・・。
ブラジルの課題と言う点では「シティ・オブ・ゴッド」が痛烈でした。

またよろしくお願いします!
Comment by カオリ @ 2006/10/04 9:51 PM
コメントありがとうございました。
主演女性がバス旅行の途中で、恋をして振られるシーンの描き方は、本当に「うまい」と思いました。
Comment by gonsuke0826 @ 2006/10/08 1:56 PM
gonsuke0826さん
逃げたトラック運転手はどんな顔していたのでしょうね。普通だったら、カメラで見せるところを、観客に自由に想像させるところが、この映画のすごいところだと思います。
Comment by まいじょ @ 2006/10/09 12:54 AM
こんにちは、TBさせて下さい。
<口紅までつけて
このシーンは泣けました。ブラジルの貧困層の姿が描かれていて色々考えさせられる作品でした。
Comment by ぶーすか @ 2006/10/09 7:22 AM
この映画は大好きな作品の一つです。
ドーラのふてぶてしさには驚かされますが、ジョズエ少年の事情を知ってから、そして彼と旅を共にしながら微妙に変化していく
彼女の心をとてもうまく見せているなぁ、と感心すると同時に感動しました。

ブラジルのまぶしいオレンジ色の配色と、見事な音楽とがマッチしていて、物語と芸術の調和のとれた素敵な作品だと思います。
Comment by abricot @ 2007/10/24 1:34 PM
abricot さん、コメント&TBありがとうございます。

モレレンバウムの音楽は目立ちませんが、この映画でとても効果的に使われていました。
Comment by まいじょ @ 2007/10/24 6:18 PM
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セントラル・ステーション

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『セントラル・ステーション』 

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