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古井戸

 チャイニーズ・ニューシネマの先駆けともなった作品で、監督は、ウー・ティエンミン(呉天明)。チャン・イーモウ(張藝謀)やチェン・カイコー(陳凱歌)など、第五世代の監督たちの兄貴分にあたる人です。チャン・イーモウは、この映画では、主演と撮影の二役をこなしています。
死の淵
 舞台は、1980年代初頭、山西省の太行山の山奥の「老井村」。この村の井戸は枯れていて、村人は10キロも離れた井戸から毎日水を運ぶ、不便な暮らしを強いられてきました。近くに井戸を掘ろうと村人たちは何度も試みますが、犠牲者が出るだけで、水は出てきません。

 旺泉は、代々井戸堀りに携わってきた家の長男。幼馴染の利発な女の子、巧英と将来は結婚するつもりでしたが、家族のために犠牲となって、子供のいる未亡人の喜鳳の家に婿入りさせられることに。旺泉と巧英は駆け落ちを試みますが、祖父に見つかって連れ戻され、二人の仲は引き裂かれてしまいます。

隣村との対決
 隣村との水をめぐる対決シーンは、迫力がありました。きっとロケ地となった村人をエキストラとして起用したのでしょうが、この手の人海作戦は中国映画の醍醐味です。

喜鳳と巧英
 井戸を掘ることへの挑戦を縦糸とすれば、二人の女・巧英と喜鳳が一人の男・旺泉をめぐってひそかに争う三角関係を横糸として物語は展開していきます。

 ある日、のどが渇いた旺泉は、巧英から水を分けてもらいましたが、その水の中に草わらをふりかけられ、それで旺泉はすっかり彼女に嫌われたものだと思っていました。しかし、後日、その訳を知ります。
「俺は嫌な男だろ。お情けでくれた水にも草をふりかけられた」
「大した考えね。どうかしてるわ。あんなにのど渇いて急に飲めば、内蔵がアウトでしょ」

 嫌われた訳ではなかった、彼女は今でも...と思うと、旺泉の頬は自然とゆるみます。

 旺泉を愛する二人の女性はどちらも悪くないし、両方とも可哀想で、私たちの同情をひきます。そこが、この映画のすごいところです。

 20年以上前とはいえ、この映画が描いた中国・山間部の暮らしは今もそう大きく変わっていないことと思います。市場経済が浸透したために、沿岸部の都市の豊かさと山間部の農村の貧しさのギャップは、ますます広がっているでしょう。山間部にもっと目を向けようという監督の思いは、その後チャン・イーモウなど第五世代の監督に確実に受け継がれていると思います。

 俳優としてのチャン・イーモウも、なかなか魅力的です。寡黙で実直なところは、どこか高倉健を彷彿させるものがありました。
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goo映画古井戸
1987年 中国
監督:ウー・ティエンミン
IMDb
Lao jing


まいじょ * 映画 * 00:25 * comments(3) * trackbacks(1)

コメント

他の記事も拝見させて頂いたら、こちらと、紅いコーリャンに目が留まり、コメント残して行きます^^
古井戸、内容は結構忘れてしまっていますが、良い映画でしたよね。紅いコーリャンは、私が初めて映画館で見た、中国映画で、ガツーンと衝撃を受けたものでした。
それ以後、中国映画って凄いんだ、って思う様になり、初期のチャン・イーモー、チェン・カイコー作品は、上映されるたびに映画館に足を運んだものでした。
中国で、コーリャン、実際に飲まれたことがあるのですね♪
私も一度飲んでみたいとおもいつつ、まだ飲める機会がありません・・・こちら、せっかくなので、TBさせて下さいネ。
Comment by latifa @ 2006/10/03 5:23 PM
latifaさん
中国映画にはまっていったいきさつ、読ませていただきました。私もだいたい同じような道筋を歩んでいます。
今いちばん観たいのは「芙蓉鎮」です。「紅いコーリャン」のチアン・ウェン(姜文)と、リュウ・シャオチン(劉暁慶)が主演する文化大革命の不条理を描いたドラマです。
Comment by まいじょ @ 2006/10/04 1:30 AM
芙蓉鎮、公開当時劇場で見ました^^
だいぶ忘れてしまいましたが・・・
以前記事を書いております(^^;)
http://blog.goo.ne.jp/latifa/e/61166559973e968dd6049c7a45a69a86
Comment by latifa @ 2006/10/04 9:29 AM
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中国映画「變臉(へんめん)・この櫂に手をそえて」「古井戸」

先日「アフガン零年」を見ていたら、内容は全然違うけれど、 本当は女の子なんだけれど、男の子として売られて行く・・・という内容の映画 「變臉〈へんめん〉 この櫂に手をそえて(1996)」を思い出しました。 この映画は、かなり涙、涙の、映画で、主役の老人役には
From ポコアポコヤ @ 2006/10/03 5:17 PM
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