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タイタニック

 ジェームズ・キャメロン監督が、タイタニック号の悲劇を壮大なスケールで映画化した超大作です。こういう映画を作れるところがハリウッドのすごさですね。

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 キャメロン監督はいいます。
 映画作家として私はいつも、劇場の観客と画面の登場人物とのあいだに、広い意味での「一体感」を創り上げることを心がけてきた。そのために必要であれば、どんなことでもやってきたつもりだ。私は『タイタニック』でも同じ方法で、現実に起こった「歴史的事件」を扱ってみたかった。充分に納得できるような感情や状況を通して、同様の「一体感」を創り上げることができるかどうか、試してみたかったんだよ。
ジェームズ・キャメロン著『タイタニック シナリオ写真集

 上の船首でレオナルド・ディカプリオケイト・ウィンスレットが抱き合うシーンは、その直後に息を呑むような場面転換となります。船首はゆっくりと、海底に眠る残骸の船首に重なり合い、溶け込んでいきます。二人は少し遅れて、ゆっくりと時間をかけて消えていきます。まるで幽霊のように。
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 もう一つ効果的な場面転換は、ディカプリオがウィンスレットをスケッチしているシーンの終わりで、若い娘から老女にモーフィング転換するところです。同じ登場人物が時間を越えてつながっていること、若いときの燃えるような熱情を、老女となった今でも変わらず持ち続けていることがこちらにも伝わってくるのです。
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 そういえば、ウィンスレットを実際にスケッチにしているのは、キャメロン監督本人の手だそうです。ディカプリオは右利き、監督は左利きのため、画像を左右反転させて作ったということです。シナリオ写真集に何枚か収められた絵コンテもすごく上手です。

 キャメロン監督は多才なだけでなく、人間社会への洞察が鋭いです。
 この速度問題で皮肉なのは、船の速度を落としていたら、船客から苦情が殺到しただろうということなんだよ。タイタニック号の船旅は、流行最先端であると同時に、速度でも最先端というのが「売り」だった。みんな飛ぶような速さの船旅に期待して、乗船チケットを買ったんだ。それをあとになって、スピードの出し過ぎは非常識だの、やれイスメイが悪いの船長がだらしないのと、あと知恵ばかりめぐらして、責任のなすり合いをする。もし速度を上げたことが氷山衝突につながったとしても、それはイスメイや船長といった個人の責任じゃない。ホワイト・スター汽船の船員士官と船客たちの共同責任だよ。両者は一緒に肩を組んで、砂上楼閣を作って、その上にあぐらをかいていたんだ。責任の半分は船客たちにあるのさ。しかもこれは当時だけじゃない。今の私たちだって、どこかで同じことをしているに決まっている。「タイタニックの惨劇」が教えてくれるメッセージとしては、イスメイが速度を上げるように言ったのかどうかなんてことより、よっぽど興味深いと思わないか。
ジェームズ・キャメロン著『タイタニック シナリオ写真集

 この発言を読んで、JR福知山線の脱線事故を起こした責任についてあらためて考えさせられました。
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goo映画タイタニック
1997年 アメリカ
監督:ジェームズ・キャメロン
IMDbTitanic


まいじょ * 映画 * 17:03 * comments(3) * trackbacks(5)

コメント

アングルのバイオリンからワープしてきました。
寺尾聡の「ルビーの指環」で思い出してしまったのです。
この映画に登場する「碧洋のハート」を。結局ヒロインが沈没以来ずーっと持っていたんですね。ロードショー公開中にあまりにも話題作だったもんで見に行ったのですが、隣のカップルの女の子が、ディカプリオ扮するジャックの遺体が海に沈むシーンで涙していました。このシーンも感情移入するにはもってこいなのですが、私は一番最後のシーンの方が好きですね。それにしても、まいじょさんの洞察力、凄い・・・老女になっても変わらない熱情だなんて!(←こういう事を中年女性自らが口に出すと下品なかんじに受け止められてしまうのは悲しい事ですが・・・)
ところで、「ルビーの指環」・・・2年の月日がたってベージュのコートをみかけると、ルビーの指環を探してしまう・・・とのくだりがありますが、別離してしまえば復縁でもしないかぎり、かつての恋人にもらった指環をする事はないでしょうね。でも貴金属類って貧乏症のなせる業かつい棄てられません・・・「木綿のハンカチーフ」ならいつしか消えてなくなる気がするのですが。
Comment by 未知との遭遇 @ 2008/03/10 4:59 PM
未知との遭遇さま、ようこそ。

この「タイタニック」は、文章は短いですが、結構時間をかけて書いた記事です。今読み返すと、福知山線の事故が風化しつつあることもあり、少し補足がいるかもしれません。

あの事故の直接的な原因は、運転士のヒューマンエラーであると推定されています。また、間接的な要因として、ダイヤ編成や日勤教育の問題が指摘され、JR西日本の経営体質が問題とされました。しかし、その背景には、日頃からスピードアップを求め、列車の遅れを咎める乗客の責任があることも否定できないと思うのです。

さて、女性の宝石に対する執着はすごいものがあるらしいですが、あの婆さん、何十年も秘かに持ち続けたとは大したものです。そんなに大切にしていたものを、二人の思い出の海にあっさり投げ入れた気持ちも分からないではありません。
Comment by まいじょ @ 2008/03/11 10:35 AM
まいじょさんの補足を読んで・・・

事故の犠牲になった方々を思うといたたまれない気持ちになります。人類ってやつは、本当に性懲りもないですね。
謙虚な気持ちを忘れないようにしなければと思います。

さて、「碧洋のハート」。小娘が貧乏な彼氏に買って貰ったちゃちな宝石とは違います。なんせフランス革命をともにした、宝石です。略奪やら王家の政略結婚やら人類の飽くなき欲望、血塗られた歴史をともにしたわけですよ・・・
タイタニックとともに沈むはずだった宝石。なんの因果かローズとともに生還してしまったんですね。ローズは「あたしが持ってます!」って言い出せない環境もあってずっと秘めていたのでしょうね。タイタニックの沈没した場所にそっと放り投げたのは祈りにも似た気持ちだったと思います。

余談ですが、細野晴臣のご先祖もタイタニックの事故から生還されたそうで、このときもし亡くなっていたら、松本隆は作詞家にならなかったかも?なんて思います。
Comment by 未知との遭遇 @ 2008/03/14 7:05 PM
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