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ライト(6) 白昼夢の中の我が主よ

Lord of My Waking Dreams

巨匠建築家 フランク・ロイド・ライト.jpg
フランク・ロイド・ライト [DVD]


ミリアム・ノエルの手紙
「1914年12月12日 親愛なるあなたへ
あなたを襲った悲しい出来事に仰天し、私の魂は悲痛な叫びをあげています。」
ナレーション
 ママーの死から間もなく、ある女性から彼へ手紙が届く。彼女は彫刻家であり、悲しみに暮れていた。夫と死別し、その後恋人に去られたのである。

ミリアム・ノエルの手紙
「宇宙とのふれあいを感じてくださいませ。心からあなたを想っています。マダム ノエルより」

ナレーション
 ミリアム・ノエルは裕福で教養があり、ライトに夢中だった。彼を「白昼夢の中の我が主」と呼んだ。

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ミリアム・ノエル

メリル・セクレスト(伝記作家)
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 彼女は南部出身でパリでサロンを開いていたわ。レオン・トロツキーを始め、重要人物とのコネがあったの。

ナレーション
 ライトはミリアムをタリアセンに迎え入れ、帝国ホテル建設のため彼女を連れて日本へ渡った。それは大きな過ちだった。ミリアムは不安定かつ暴力的で薬物中毒だった。争いが絶えなかった。ライトは彼女の料理や服装を批判し、彼女は母親の言いなりになっているとライトを責めた。それでも2人は8年以上も共に過ごした。1923年にキティ・ライトはようやく離婚に応じた。同年、ライトの母が亡くなった。ライトはミリアムをなだめようと結婚に応じたが、失敗に終わった。1924年春、彼女はライトをナイフで脅し、他の女には絶対渡さないと言い張ったが、また新たな女性が現れた。
 オルギヴァンナ・イヴァノヴァ・ミラノフ・ヒンツェンバーグは、当時26歳でライトよりふたまわり以上歳下だった。東ヨーロッパで生まれ、ドイツ人の夫と別居中だった。彼女の師匠はゲオルギー・イヴァノヴィッチ・グルジェフ、東西の哲学を融合した理念で世界の人々を魅了した人物である。

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オルギヴァンナ

メリル・セクレスト(伝記作家)
 彼は大半の人は眠りの中で生活していると考えた。自分の周りの生命を本当には認識していないとね。

ナレーション
 ライトはシカゴのバレエ公演でオルギヴァンナと出会った。

メリル・セクレスト(伝記作家)
 ライトは古典的な踊りをする踊り子を見て彼女にこう言った。爐泙襪婆欧蠅涼罎罵戮辰討い襪澆燭い性
彼女はライトを見てこう思った。この人は世の中の本質をわかっている。

ナレーション
 オルギヴァンナはタリアセンに引越し、ライトの子を宿した。新たなスキャンダルの幕開けである。2人が新聞記事を賑わせるとミリアムは怒り、ライトの家に侵入し、2人を殺すと脅した。

メリル・セクレスト(伝記作家)
 もの凄い勢いで2人を追い詰めたの。彼が破産するまで追い回した。オルギヴァンナをとことん追い詰めたし、2人を訴えたり、町や州をまたがって追い回した。その状態が3〜4年は続いたわ。

ナレーション
 オルギヴァンナの元夫にも追われ、2人はミネソタ州の森で偽名を使って身を隠した。ライトは地元の保安官にマン法違反で逮捕された。不品行な目的で女性を州から州へ移送することは違法だった。ライトは2番を刑務所で過ごした。彼はマスコミ無罪を主張、彼が唯一認めた罪は民主主義では致命傷となる爛▲ぅ妊△鮖つこと瓩世辰拭ライトの家族も彼を見放した。

ティム・ライト(ライトの孫)
ティム・ライト.jpg
 ライトは親戚の恥だったんだ。当時高校生だった父を苦しめた。祖父はひどく悪名高かったから、偉大なる天才というよりは悪影響を与える危険人物だった。せっかくの才能を無駄にしていた。色恋沙汰に忙しかったからね。

ナレーション
 1925年、再建後のタリアセンがまたも焼失した。再建中にタリアセンの抵当流れ処分を告げられた。
救済したのは友人達だった。不運は仕事にも及んだ。国内で何百もの超高層ビルが建設中だったが、悪名高いライトへ仕事を依頼する者は少なかった。シエラマドラ山脈の大規模開発の仕事を受注し、タホ湖での建設や100万人を収容する大聖堂の仕事は受注できたが、どれも建設される事はなかった。

ティム・ライト(ライトの孫)
 国の繁栄に反してライトは不景気だった。20世紀のブーム期にどん底にいた。50代の頃、ライトは記事に過去の人として紹介された。何年も重要な建物を手掛けていなかったからだ。

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「過去の人」ライト

ナレーション
 1927年8月、ミリアムは離婚に応じた。ライトは一文無しだったため、友人や昔の施工主が離婚手当を肩代わりした。1年後、オルギヴァンナと結婚し、彼はタリアセンに戻った。1929年、大恐慌が発生した。ライトの唯一の仕事であったアリゾナ州のリゾート建設は中止された。

ブルース・ファイファー(ライトの弟子)
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 苦しい時期だった。ライトは手紙にこう書いた。「シーツと切ってハンカチを作り、服も4年間買ってない」
 ニューヨークの姉があげたコートは古着だったが、オルギヴァンナにとっては高価だった。

ブレンダン・ギル(作家)
ブレンダン・ギル.jpg
 長い間、ライトは不毛の時期を過ごした。彼のように不運にも見舞われ失敗が続いた状態から復活できた人は稀だよ。

メリル・セクレスト(伝記作家)
 1905年から1910年にかけて彼が手掛けた建物は、彼が20年前に建てていたものと同じで、時代遅れだった。建築家は社会のビジョンを反映するべきだという考えに誰も興味を持たなくなっていた。60代に突入したライトは絶体絶命の立場にあった。

ナレーション
 ライトは落ちぶれていった。時代や流行の変化の犠牲となり、スキャンダルや過剰なエゴの餌食となった。批評家は彼を「時代遅れ」と評した。だが彼らはライトを侮っていた。彼は後に想像を絶する偉業を成し遂げるのである。
まいじょ * ドキュメンタリー * 12:29 * comments(0) * trackbacks(0)

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