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死刑台のエレベーター

 ルイ・マル監督の実質的なデビュー作で、25歳にして天賦の才能が随所に現れています。

 音楽を担当したのは、マイルス・デイヴィス。映画のラッシュを観ながら、すべて即興で音楽がつけられたといいます。
 ルイ・マルは認めます。
「マイルス・デイヴィスの音楽なしでは、批評家そして観客から受けたあの熱烈な反応は絶対に得られなかったと思う」(『マル・オン・マル』)

自殺を偽装する殺人者

 冒頭、スクリーンからはみ出るようなジャンヌ・モローの顔のアップが映り、その口から恐ろしいセリフが出てきます。
「もう耐えられない。愛してる。だから(夫殺しを)やるのよ。愛してる。離れないわ」

 社長夫人のジャンヌ・モローと、夫が経営する軍需品製造会社に勤めるモーリス・ロネは愛人関係にあります。二人にとって邪魔者となった社長を自殺とみせて殺害する完全犯罪を企てたのです。

 ロネは、退役軍人で、英雄でした。彼に銃をつきつけられた社長は、「怖くはない」と虚勢を張ります。
「君にはやれんよ。ここは戦場ではない」
「戦争を馬鹿にするな。メシの種だろ。インドシナで儲け、今度はアルジェリア。戦争に感謝しな。おかげでお家安泰だ」
「私の拳銃? 誰からそれを?」

 この時、社長は共犯者が妻であることを悟ったのでしょう。でも場面は切り替わって、次に戻ったときには社長は死んでいました。そのとき、一瞬だけベランダの手すりを歩く黒猫がうつります。場面転回の妙といえます。

 犯行後、ロネがエレベーターに閉じ込められたことがきっかけで、完全犯罪は崩れていきます。

 共犯者を救うためにモローは奔走します。最後、愛人関係=共犯を裏付ける幸せそうな二人が写った写真が、警察の手で現像され、少しずつ現れてくるシーンなど最高の演出です。定着液につかった写真をいとおしくなでるモローの指が、とてもせつないです。
死刑台のエレベーター
 そういえば、ジャンヌ・モローとモーリス・ロネが二人でいる姿は一度も登場しないのです。それも何だかせつないですね。
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映画死刑台のエレベーター
1957年 フランス
監督:ルイ・マル
IMDbAscenseur pour l'échafaud


まいじょ * 映画 * 18:42 * comments(6) * trackbacks(9)

コメント

「映画が好きでよかった!!」と感激した作品です。

そうですか、ルイ・マル監督25歳でこの傑作を
撮りあげたんですか!

「男と女」のルルーシュも確か25歳前後で撮ったのが
カンヌでグランプリ獲得したんでしたよね。

ルイ・マルの作風には遺作「42丁目のワーニャ」まで
ずっと魅了されています。

大人の男女を描くのも長けてますが「さよなら子どもたち」に見られるような瑞々しい感性にも惹かれます。

Comment by viva jiji @ 2005/11/23 7:16 PM
トラックバックありがとうございます。
この作品って何度観ても面白いですよね。また観たくなりました。
Comment by かよちーの @ 2005/11/23 8:28 PM
こんばんは。
毎度TB&コメントありがとうございます。

> ジャンヌ・モローとモーリス・ロネが二人でいる姿は一度も登場しないのです。


あ、そういえばほんとそうですね。

あのなんともいえない深い味わい、映画でしか表現できない世界ですよね。

墓場に持っていきたい(笑)大事な一品です。
Comment by モカ次郎 @ 2006/10/01 1:08 AM
まいじょさん、viva jijiさんのところでお名前は拝見しておりましたが、出不精を思いっきり発揮して今日までやって参りませんでした。申し訳ございません。

ロープの扱いは問題ですが、映画としては抜群の魅力の一編ですよね。言い尽くされた表現でしょうが、映画らしい映画。同じヌーヴェルヴァーグでもゴダールをそれを破壊してしまった感がありますよね。昨日も観たばかりですが、どうも苦手です。

今後ともご贔屓に。
Comment by オカピー( @ 2007/01/20 6:09 PM
ええと、ちょっと間違いなどをしました。オカピー(プロフェッサー)と書こうとしたところが書き終わる前に流れてしまいました。

それから、<ゴダールを>ではなく<ゴダールが>でしたので、訂正致します。

ジャンヌ・モローが逢えないことで心理的に動揺する模様を見つめた作品ですので、<最後まで逢えない>というのが映画的に実に味があります。心情的には切なさを覚えますね。
Comment by オカピー(プロフェッサー) @ 2007/01/20 6:31 PM
プロフェッサーさま、ようこそおいでくださいました。

ルイ・マルは、ヌーヴェルバーグにくくられますが、この処女作からして正当派ですよね。スタッフやキャストにも恵まれています。もちろん新しい実験的な試みは行っていますが、ソツがありません。
Comment by まいじょ @ 2007/01/20 11:44 PM
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死刑台のエレベーター

死刑台のエレベーター 何度見ても飽きないサスペンス映画です。 計算された完全犯罪が予定外の事故で狂ってしまいます。 悪い事をするなら機械に頼ってはいけない ということかもしれません。 ジャンヌ・モローって美人なのかよくわからないけどいつもい
From cino @ 2005/11/23 8:25 PM

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From cogito ergo sum @ 2005/11/23 10:16 PM

死刑台のエレベーター

ルイ・マル初監督作品の「死刑台のエレベーター」を観ました♥ やっぱりジュールケース版はデザインがカッコイイです♥♥♥ それよりアマゾンは本当に高いですね。 「死
From 映画漬 @ 2005/11/26 9:28 AM

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From シネマうさぎ @ 2006/01/30 4:01 AM

おすすめ映画 『死刑台のエレベーター』

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From おすすめ映画 〜名作、感動、涙〜 @ 2006/10/01 12:51 AM

映画評「死刑台のエレベーター」

☆☆☆☆★(9点/10点満点中) 1957年フランス映画 監督ルイ・マル ネタバレあり
From プロフェッサー・オカピーの部屋[別館] @ 2007/01/20 5:26 PM

死刑台のエレベーター

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From ::: SCREEN ::: @ 2007/01/21 7:41 AM

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