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さよならオークラ

 昨年8月、NYtimesに "Farewell to the Old Okura" と題する記事が掲載された。38階建ての超高層ビルを建設するため、ホテルオークラ東京の本館が取り壊されることに対して、日本だけでなく世界各地で抗議の声があがっているという。


 内外の抗議の声も空しく、8月末で本館は営業を休止し9月には解体が始まる。そこで、"東洋の誇り"といわれるこの建築の最後を見届けてきた。

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ホテルオークラ本館
 設計:大成観光設計委員会(谷口吉郎、小坂秀雄、清水一、岩間旭、伊藤喜三郎)、大成観光建築部(柴田陽三、桑木泰司、渡辺健三、顧問・ウイリアム・シュラーガー)。施工:大成建設。竣工:1962年5月
 9人の建築家の中で、外装を担当したのは小坂秀雄だという。
当初、建物の外装は谷口が設計する予定だった。しかし、帝国劇場のような縦のマリオンを強調した谷口の外装がほかの近代建築をイメージさせ、「同一傾向では新鮮味がとぼしくなる」としてホテル側が退けた。最終的に小坂が外装を担当することになり、現在の横長のフォルムで、横の線を強調するデザインに決まった。(「ケンプラッツ」2015/03/03
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本館エントランス
 高低差のある敷地に建つため、西側(アメリカ大使館側)のメインエントランスは5階になる。

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宴会場エントランス
 北側にある宴会場エントランスは1階。
 そういえば六本木から虎の門まで歩いて通う知人は、泉ガーデンのエスカレーターを上り、ホテルオークラのエレベーターを下りて、高低差を解消していた。

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メザニンからの眺め
 右手前がエントランスで、左奥がメインロビー。
 3月初めの撮影時、ランタンの下には梅が生けられていた。ここには、開業から現在まで常に、石草流による生け花を飾っているという。日本のおもてなしだ。

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ブリッジ状のメザニン
 メザニンとは、ロビー階からみた中2階のことで、本館6階に相当する。ブリッジ状のメザニンが、ロビーからみて4段上にあるエントランスロビー(奥)とメインロビー(手前)とを隔て、メインロビーに落ち着きをもたらしている。
時間をかけて大倉会長の希望をそしゃくしていった谷口。ただ、大倉会長と野田社長がロビーの天井を高くして、真ん中に“夢の架け橋”をかけたいと希望したことに対しては、さすがの谷口も困惑したようだ。「大倉さんは、朱塗りの欄干の付いた太鼓橋をロビーに架けたかった」と小坂が後のインタビューで話している。谷口は「その精神だけを採り入れましょう」という姿勢で、メザニン(中2階のこと。本館でいうと6階)を設け、一部をブリッジ状にした。メザニンにはロビーと同様にソファと漆塗りのテーブルを置き、ロビーを見渡せる贅沢な空間が生まれた。(「ケンプラッツ」2015/03/03

 朱塗りの太鼓橋にしなくて本当に良かった。

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本館メインロビー
 ソファーにすわると本当に落ち着く。こんなに居心地のいいロビーは国内ではほかに見たことがない。
ホテルオークラ東京営業企画部広報課の荒井郁子氏によれば、「ロビーは落ち着く場所とすべきで、商売をしてはいけないという考えもあったと聞いている」と話す。(「ケンプラッツ」2015/03/03


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屏風状に張られたつづれ錦
 四弁花紋のデザインは色絵磁器の人間国宝である富本憲吉。ようやく決まったデザインを京都・西陣でつづれ錦に織った。
特に難航したのがロビーに入って右手にある屏風状の壁面だった。屏風状にすることは設計段階で決まっていたが、現場が始まっても仕上げが決まらない。最後になってようやく、「富本さんにお願いしてください」と谷口が柴田に告げた。「富本さん」とは、色絵磁器の人間国宝である富本憲吉のこと。富本がランの花が連なる四弁花紋をデザインした後、それを京都・西陣で絹のつづれ錦に織ってもらうことになった。織物が一片でも出来上がれば特別列車や飛行機便で運び、すべてがそろったのは開業レセプション当日の朝5時だったという。(「ケンプラッツ」2015/03/17
 

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ロビーの窓
 上方の格子は麻の葉紋様に木を組んであり、外光を柔らかに通す。職人芸のきめ細かなデザインに圧倒される。

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オークラ・ランタン
 ランタンは中に薄い布を張って和紙のような風合いにし、柔らかい光を演出している。

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オーキッド・ルーム
 ロビーに面したメインダイニング。内装は、窓やランタンなどはロビーと共通したデザインで落ち着いた雰囲気で食事ができる。

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桃花林
 メザニン(本館6階)にある中華レストラン。ここの広東料理は本当に美味しい。

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別館エントランスロビー
 設計:谷口𠮷郎。ランタンによる照明など本館と同一基調となっている。別館は、本館の建て替え中も営業を継続する。

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屏風形の壁画
 デザインは版画家の棟方志功による。

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本館夜景
 優れた建築は、夜の姿も美しい。
まいじょ * ノンセクション * 10:32 * comments(0) * trackbacks(0)

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