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ビューティフル・マインド

 この映画は、昨日とりあげた「素数の魔力に囚われた人々」の一人、アメリカの天才数学者、ジョン・ナッシュ(1928-)の物語である。彼は、若くしてゲームの理論や微分幾何学で画期的な成果をおさめ、後年、その功績からノーベル経済学賞を受賞した。

ノーベル賞授賞式

 学生の頃から、ナッシュはとても変わった男だった。近代経済学の常識を打ち破る新しい発見をした時のエピソードが面白い。学生クラブのようなところで、仲間の男子学生4人とつるんでいるところに、美しいブロンド嬢とその女友達4名が現れる。まるでフィーリング・カップル5×5のような状況だ。友人のハンセンは、どうせフラれると思って、ナッシュにブロンドにアタックしろとけしかける。

ハンセン「君ら、思い出せよ。近代経済学の父アダム・スミスは何と言った?“競合社会では個の野心が公の利益である”。行けよ。口をきいてフラれてこい
ナッシュ「アダム・スミスは間違っている。
ハンセン「何だと?
ナッシュ「皆がブロンドを求めたらどうなる?−−競合するだけで誰も彼女をモノにできない。じゃ女友達を求めるか?−−“本命じゃないのね”とムクれてフラれるだけだ。だから、ブロンドを無視するんだ。そうすれば利益は衝突せず、女友達も気を悪くしない。それで皆、女を抱ける

ナッシュ「アダム・スミスは言った。“最良の結果はグループ全員が自分の利益を追求すると得られる。”間違いだ。“最良の結果は、全員が自分とグループ全体の利益を求めると得られる”


 これこそ、ゲームの理論の中核をなす「非協力ゲームより協力ゲームを」という話である。今や、この話が普及しすぎたためか、美しい女性に誰もアタックしようとしないようだ。全然モテナイ美人、「なぜこの人が」というのに売れ残っている美人というのが本当にいることを私は知っている。

 さて、ナッシュはリーマン予想に取り組んだ頃から、統合失調症におかされ、幻覚に悩まされるようになる。米軍のスパイが登場し、その依頼で暗号解読をしたり、学生時代のルームメートやその娘の女の子が現れるて交流したりするが、それらはみな病気による幻覚だった。女の子が何年たっても大きくならないことに気づき、幻覚の人々に別れを告げるシーンは涙をさそう。ある意味、自分の分身との決別だったのだろう。

幻覚の女の子

 統合失調症のつらさや向精神薬による治療の苦しさ、家族の不安などが実際どれほどのものかはわからないが、映画ではそれなりによく描かれていたと思う。特に、薬のために妻を拒んだこと(そのつらさ)により、妻がヒステリーを起こし、それで薬を一時飲まなくなったこと(そのつらさ)など、身につまされた。

 現存するノーベル賞受賞者を描いたために、かなり事実とは異なる脚色が行われたようだ。そうした点について批判があるとも聞く。だが、醜いところに目をつぶり、ただ美しく描いて何が悪い。テンポのいい脚本は見事であった。
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goo映画ビューティフル・マインド
2001年 アメリカ
監督:ロン・ハワード
IMDbA Beautiful Mind


まいじょ * 映画 * 21:33 * comments(0) * trackbacks(1)

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ビューティフル・マインド

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From アスカ・スタジオ @ 2010/01/25 5:13 PM
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