<< August 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< ブラジル風バッハ全曲演奏会 | main | 素数の魔力に囚われた人々 >>

ミラノ・スカラ座「アイーダ」

 9月9日、ミラノ・スカラ座の来日公演、ヴェルディ 「アイーダ」 (NHKホール)を観てきた。
アイーダ
 2008年3月、「アイーダ」を新国立劇場で観て激しく感動した。「これまで観たり聴いたりした中で最高のパフォーマンス」だと感じた。
 ミラノ・スカラ座は、「アイーダ」世界初演のエジプトに続くヨーロッパ初演の舞台であり、ヴェルディゆかりの劇場である。しかも、演出・舞台装置が新国立と同じゼッフィレッリとくれば、大いに期待してしまう。

 だが新国立のようなド派手な舞台ではなかった。凱旋シーンのエキストラの人数はずっと少なく、馬も登場しなかった。舞台装置の豪華さは、新国立と同様だが、スカラ座では重要な場面はすべてシンメトリーで統一され、衣装はやや渋いトーンの美しい色彩でコーディネートされ、舞台ともよく調和していた。演出では人物の動きが少なく、全体として静謐な中で、唯一ワシーリエフ振付のバレエが激しい動きで圧巻だった。この演出の特徴である巫女も、古代エジプトの神秘的な雰囲気を醸し出すのに成功していたと思う。ゼッフィレッリはヴィスコンティの映画やオペラでも美術監督をしていたというが、本物の美を求める探求心はヴィスコンティ以上かもしれない。

 新国立と比べて良かったことは、まず指揮のバレンボイム。普通だと有名なアリアが終わると、出来の良し悪しにかかわらず拍手が起こり演奏が中断されることが多いが、バレンボイムは一瞬の間のあと、すぐ次の演奏に移り、テンポが良かった。長年スカラ座に君臨したムーティが去ったあと、バレンボイムは「スカラ座のマエストロ」と呼ばれるだけあって、オケや歌手との息がぴったりあっていた。オケでは、管楽器が特に活躍して、ムードを盛り上げていた。

 ソリストたちは、直前にキャンセルが出て代役となった人もいるため不安もあったが、特におかしなところは感じられなかった。アムネリス(アンナ・スミルノヴァ)とアイーダ(マリア・ホセ・シーリ)は役の性格に合った声で分かりやすかった。ラダメス役のスチュアート・ニールは、スカラ座で何度か大物の代役をつとめた時に観客をがっかりさせたという評判だが、今回も代役でやや不安そうな出だしだったものの、すぐに調子をつかんで堂々と最後まで歌っていた。合唱団、とくに古代エジプトの宗教歌を思わせるエキゾチックな女性コーラスはスカラ座の方が優っていると感じた。
 新国立と比べて悪かったのは、料金の高さ。ホールの貧困さ。名門オペラの来日公演用にもう一つ新国立並みの設備の劇場があってもいいと思う。

 余談だが、休憩時間にホワイエで自民党の大物議員を何人も見かけた。「政権交代」で暇になったのだろうが、まぁ、当面の間は何もしないでゆっくりと英気を養うのもいいだろう。
指揮:ダニエル・バレンボイム

演出・舞台装置:フランコ・ゼッフィレッリ
衣裳:マウリツィオ・ミレノッティ
照明:ジャンニ・マントヴァニーニ
振付:ウラジーミル・ワシーリエフ
合唱指揮:ブルーノ・カゾーニ

エジプト王:カルロ・チーニ
アムネリス:アンナ・スミルノヴァ
アイーダ:マリア・ホセ・シーリ
ラダメス:スチュアート・ニール
ランフィス:ジョルジョ・ジュゼッピーニ
アモナスロ:ホアン・ポンス
使者:アントネッロ・チェロン
巫女:サエ・キュン・リム

ミラノ・スカラ座管弦楽団 /ミラノ・スカラ座合唱団

プリンシパル:エミーリエ・フォイロー エリス・ネッツァ
ソリスト:フラヴィア・ヴァッローネ
ミラノ・スカラ座バレエ団

東京バレエ学校

【参考】

JUGEMテーマ:音楽


まいじょ * オペラ * 23:27 * comments(0) * trackbacks(0)

コメント

コメントする









トラックバック

このページの先頭へ