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ブラジル風バッハ全曲演奏会

 ヴィラ=ロボス没後50周年記念「ブラジル風バッハ全曲演奏会」を聴きにオペラシティ・コンサートホールに行って来た。
ブラジル風バッハ全曲演奏会
1.第6番(1938)〜フルートとファゴットのための
2.第9番(1945)〜無伴奏合唱のための
3.第4番(1930[-/41])〜ピアノのための
4.第1番(1930)〜8本のチェロのための
5.第5番(1938/45)〜ソプラノ独唱と8本のチェロのための
6.第3番(1938)〜ピアノとオーケストラのための
7.第8番(1944)〜オーケストラのための
8.第2番(1930)〜オーケストラのための
9.第7番(1942)〜オーケストラのための

指揮:ロベルト・ミンチュク
ソプラノ:中嶋彰子
フルート:斉藤和志
ファゴット:黒木綾子
ピアノ:白石光隆
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
司会:加藤昌則

 多様な声・楽器編成で演奏される「ブラジル風バッハ」を、1日で全曲演奏するという意欲的なコンサートの企画は見事に成功したと思う。ミンチュクの指揮も、それに応える東京フィルや新国立劇場合唱団の演奏も本当に反応がよく、リズム感があって、ブラジルの息吹を見事に出していた。特に8人のチェリストたちは気持ち良かっただろうなと思う。

 まず、全曲演奏会という企画がよかった。めまぐるしく変わる楽器編成に対応して、スタッフもいい仕事をしていた。ステージ変えをしている間のトークも、的確な内容だった。日本ではなじみのない作曲家の作品で、これほど大規模なホールを満席近く(8割くらいか)集客ができたのは、今やまれにみる大成功といえるのではないか。

 9番の新国立劇場合唱団は本当に素晴らしいアンサンブルだった。演奏後、声を楽器として使うスウィングル・シスターズの先駆けとなったといった解説があったが、完璧にクラシックの発声のアカペラでこれほどビートやリズムを感じさせるとは驚きだ。近頃流行り(実は全然流行っていない)と聞く、クラシッカル・クロスオーバーなるものを日本で売り出そうとしている人たちには、馬鹿なことせずに、こういう音楽の魅力をもっと広めることに努力してもらいたいと思う。

 5番は私にとって唯一以前からなじみのある曲だが、初めて歌ったという中嶋彰子さんのソプラノは素晴らしかった。第2楽章でモチーフとなっている野鳥は、後期のジョビンもさかんに採用した。ブラジル風バッハを聴いてジョビンを感じたのは私だけではないだろう。8本のチェロがメインの1番、5番だけでなく、オーケストラのための作品でもチェロが大活躍だった。これも晩年のジョビンがジャキス・モレレンバウムのチェロを多用したことと重なり、独特のサウダージ感をかもし出していた。

 2番の第1楽章「カパドシオ」のトロンボーンも素晴らしい演奏だった。イパネマの娘と対をなすリオの「だて男」を見事に表現した。指揮のミンチュクは東フィルの反応の良さに驚いていたが、東フィル&新国立劇場合唱団はオペラでいつも合わせることに慣れてるので、普通のオケに比べ反射神経がいいのだと思う。

 楽曲として完成度が一番高いのは最後に演奏された7番だと思う。「ブラジルのマーラー」とたとえられるようだが、私はフーガの楽器の変わり方や追いかけ方など「ブラジルのラヴェル」だと思った。ヴィラ=ロボスは、ブラジルの民族音楽とやフランスのクラシック音楽の影響がやはり大きいのだろう。

 会場では、「ブラジリアンクラシックミュージック」というCD付きの本を、500部限定で無料配布していた。これが、なかなかマニアックな本で、ブラジルのクラシック音楽の歴史を詳しく解説している。ヴィラ=ロボスとカマルゴ=グアルニエリの他にも多くのの作曲家がいて、膨大な音楽作品が埋もれているらしい。ヴィラ=ロボス没後50周年記念のイベントが、こうした未知の作品に触れる機会になったことが喜ばしい。
【追記】TOYONOさん によれば、10月にNHKで放映されるそうだ。要チェックである。
テレビカメラが入っている様子には見えなかったが、Tellさん の情報によると、FM放送だけかもしれない。
NHK-FM「サンデークラシックワイド」
放送日時
2009年10月25日[日]14:00 - 18:00
音が再現できるだけでもうれしい。
【参考】

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まいじょ * 音楽 * 23:50 * comments(0) * trackbacks(0)

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