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道路と超高層ビルの重複利用について 4

2017年4月『再開発研究』33号所収
「道路と超高層ビルの重複利用について
〜環状第二号線と虎ノ門ヒルズにおける市街地再開発事業による一体的整備〜」
山本正紀


はじめに
1.立体道路制度の創設と環状第二号線への適用
2.都施行再開発事業への民間活力の導入
3.環状第二号線新橋・虎ノ門地区再開発事業の計画の変遷
4.道路と建物の重複利用に伴う課題と対応策
おわりに



4 道路と建物の重複利用に伴う課題と対応策
軍攻萋發砲ける道路と超高層建物の重複利用をめぐって、計画、設計、施工、管理運営の各段階でどのような課題があり、それをどのように解決してきたかについて述べる。
4−1 計画段階
 2008年の都市計画変更案を策定していく過程においては、超高層建物の柱列を道路に含めるかどうかが焦点となった。建築の柱部分を道路の都市計画区域や道路区域に含めるかによって表3の3通りのケースが考えられる。再開発側からすると、ケース1やケース2では道路占用許可や都市計画法の許可が条件となり、将来の建物に関する権利が不安定となる恐れがある。建築の自由が確保され、建物に関する権利が安定するケース3が最適と考えられた。しかし道路側からすると、ケース3は道路の都市計画変更が必要となるだけでなく、既定計画の道路の範囲が狭められ、しかも上下線で二分されることになるため抵抗もあった。再開発事業担当者と道路事業担当者による「立体道路調整会議」(都市整備局・建設局)での度重なる調整を行った。最終的にはケース3が道路と建物双方にとって合理的であることが道路側にも理解され、必要十分な範囲に限定して道路の立体的区域を定めることができた。その際、決め手となったのは、都市施設の立体的都市計画の新たな導入である。

表3 建築の柱の扱い
表3建築の柱の扱い

 立体道路の境域(都市計画法及び道路法)については、以下の4つの境域をすべて合致させて設定した。
ア 道路法第47条の5に規定する「道路の立体的区域」
イ 都市計画法第12条の11に規定する「建築物等の建築又は建設の限界」
ウ 都市計画法第11条第3項に規定する「都市施設の立体都市計画」
エ 都市再開発法第118条の25で準用する民法第269条の2第1項に規定する「地上権(区分地上権)」
 なお、上下の境域については、区分地上権の登記実務の関係から階段状に設定することにした。
 このほか計画段階では、道路・建物の相互の関係を規定する条件を整理し、図10のとおり与条件を確定させた。
超高層建物の柱列は道路上下線の間に配置する
道路はボックスカルバート(箱形のトンネル)構造とする
建築の荷重を道路に載せない
道路の荷重を建築が支持する(一体構造)
振動対策は建築の領域内で処理する

図10道路と建物の相互関係
図10 道路と建物の相互関係

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まいじょ * 再開発 * 09:40 * comments(0) * trackbacks(0)

道路と超高層ビルの重複利用について おわりに

2017年4月『再開発研究』33号所収
「道路と超高層ビルの重複利用について
〜環状第二号線と虎ノ門ヒルズにおける市街地再開発事業による一体的整備〜」
山本正紀


はじめに
1.立体道路制度の創設と環状第二号線への適用
2.都施行再開発事業への民間活力の導入
3.環状第二号線新橋・虎ノ門地区再開発事業の計画の変遷
4.道路と建物の重複利用に伴う課題と対応策
おわりに



おわりに
 環状第二号線新橋・虎ノ門間は2014年3月に開通し、同年5月には軍攻茲虜導発ビル(虎ノ門ヒルズ)が完成した。今後は築地市場の豊洲市場移転に合わせて環状第二号線の延伸部の供用が開始される予定となっており、首都圏の物流ネットワーク上重要な役割を果たすことになる。さらに2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、臨海部に選手村やプレスセンター、約20の競技会場の配置が予定されていることから、環状第二号線は臨海部と都心部の新国立競技場、ホテルなどを結ぶ「五輪道路」として重要な役目を担う道路となる。
 本事例のように立体道路制度を活用することにより都市施設と民間施設の一体的整備を推進することができれば、今後東京の都心部でも道路整備の可能性が広がるであろう。立体道路制度はこれまで新設する道路にしか適用できなかったが、2015年には既存の道路にも適用できるように法改正された。特に今後期待されるのは首都高速の再生にからむ立体道路制度の活用である。前の五輪に合わせて緊急的に整備された首都高速は老朽化が進んでいるだけでなく、道路や河川の上を高架橋が占拠するなど都市景観を著しく阻害している。高架橋の地下化を含めた首都高速の再生を進めていく上で、都市再生プロジェクトと道路整備を一体的に行う立体道路制度は有力な手法の一つであると考えられる。
写真2環状第二号線地下トンネル坑口と虎ノ門ヒルズ
写真2 環状第二号線地下トンネル坑口と虎ノ門ヒルズ
出典:細見(2015)


■参考文献
・東京都,環状第二号線新橋・虎ノ門地区都市計画案のあらまし,1998
・東京都,環状第二号線新橋・虎ノ門地区,2006
・東京都都市整備局市街地整備部再開発課,立体道路制度を活用した環状第2号線の整備,「道路行政セミナー」2014年8月号,財団法人道路新産業開発機構,2014,pp1-4
・長尾大介,虎ノ門ヒルズ:立体道路制度による環状第二号線の一体的整備と官民連携による事業推進について,「再開発研究」No.31,(社)再開発コーディネーター協会,2015,pp60-67
・細見明彦,立体道路制度を適用した環状第2号線の整備,「土木技術」2015年1月号,土木技術社,2015,pp32-37
・東京都,環状第二号線新橋・虎ノ門地区 再開発事業・道路事業 事業概要2015,
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/dainiseibi/tikubetu/kanjyounigou/pdf/ko01.pdf
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道路と超高層ビルの重複利用について 3

2017年4月『再開発研究』33号所収
「道路と超高層ビルの重複利用について
〜環状第二号線と虎ノ門ヒルズにおける市街地再開発事業による一体的整備〜」
山本正紀


はじめに
1.立体道路制度の創設と環状第二号線への適用
2.都施行再開発事業への民間活力の導入
3.環状第二号線新橋・虎ノ門地区再開発事業の計画の変遷
4.道路と建物の重複利用に伴う課題と対応策
おわりに



3.環状第二号線新橋・虎ノ門地区再開発事業の計画の変遷
 当地区の都市計画がどのように変遷してきたか、立体道路制度の適用部分に焦点を当てて道路と建物の関係の変化をたどってみたい。

表2 事業の経緯
表2事業の経緯(1946-1999)表2事業の経緯(2000-2017)

3−1 当初の計画
 1998年の当初の都市計画は、環状第二号線の道路計画区域に現在の軍攻茲良瀉呂里澆魏辰┐震7.5haの施行区域であった(図2)。西新橋・新橋エリア(愛宕通り〜柳通り)では地下トンネルの道路上に低層建物を並べ、建物の両サイドにそれぞれ一方通行で沿道アクセス道路を配置するという非常にプリミティブな形で立体道路制度を適用する計画であった(図3)。環状第二号線の建設に必要最小限の範囲で区域を設定したものであるが、この計画のまま事業を進めた場合、道路上に計画した再開発ビルができるまでの相当長期にわたって権利者は仮住まいや仮営業を余儀なくされるという致命的な問題があった。
 現在の軍攻茲砲錬甘錣侶物(住宅棟、超高層棟、業務棟、商業棟)が計画されていた(図4)。また、新橋エリアの道路上に換気塔を設ける計画であった。

図2(1998)_NEW
図2 当初の計画(1998年)
出典:東京都(1998)


図3道路上建物_NEW
図3 道路上の建物
出典:東京都(1998)


図4 軍攻茲稜枌NEW
図4 軍攻茲稜枌屐複甘鎔董
出典:東京都(1998)
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まいじょ * 再開発 * 09:39 * comments(0) * trackbacks(0)

道路と超高層ビルの重複利用について 1

2017年4月『再開発研究』33号所収
「道路と超高層ビルの重複利用について
〜環状第二号線と虎ノ門ヒルズにおける市街地再開発事業による一体的整備〜」
山本正紀


はじめに
1.立体道路制度の創設と環状第二号線への適用
2.都施行再開発事業への民間活力の導入
3.環状第二号線新橋・虎ノ門地区再開発事業の計画の変遷
4.道路と建物の重複利用に伴う課題と対応策
おわりに



1.立体道路制度の創設と環状第二号線への適用
 環状第二号線は、神田佐久間町と有明を結ぶ総延長約14kmの都市計画道路で、都心部の渋滞解消や臨海部とのネットワーク強化を図るうえで、極めて重要な路線である(図1)。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催時には、選手村と競技場等を結ぶことが予定されていた。

図1 環状第二号線全体図
図1 環状第二号線全体図
出典:東京都(2015)

 環状第二号線の新橋・虎ノ門間は、戦後間もない1946年に都市計画決定されながら、長年の間未整備のままとなっていた。1993年に環状第二号線は臨海部への延伸が決定し、都心部と汐留、さらには臨海部の勝どき・晴海・豊洲などとを結ぶ骨格路線となり、重要性がさらに高まった。都では1980年代から環状第二号線の整備を急ぐために、通常の用地買収による道路事業はもちろん大街区方式区画整理事業(スーパー区画整理事業)など様々な事業手法を模索したが、なかなか事業化には至らなかった。事業化が難しかった最大の理由は地価が高いことである。対象となる区間は都心の一等地であり、バブル期には用地費だけで数千億円を要するとみられた。この隘路に決定的な打開策を与えたのが、1989年の立体道路制度の創設である。
 立体道路制度とは、土地利用の合理化を図るための取り組みの一環で、道路区域を立体的に定めることにより、道路区域の上下空間に建築物を建てることを可能とした制度である。この制度を活用することにより、建築側では道路の上下空間も含めた土地の有効利用が可能となり、道路側は道路の用地取得にかかるコストを大幅に縮減することができる。都は立体道路制度を活用した都施行市街地再開発事業により環状第二号線を整備する方針を決定し、計画案の検討を始めるとともに地元との協議を始めた。

写真1事業着手の頃
写真1 事業着手の頃
出典:細見(2015)


続き 2.都施行再開発事業への民間活力の導入
まいじょ * 再開発 * 09:38 * comments(0) * trackbacks(0)

道路と超高層ビルの重複利用について 2

2017年4月『再開発研究』33号所収
「道路と超高層ビルの重複利用について
〜環状第二号線と虎ノ門ヒルズにおける市街地再開発事業による一体的整備〜」
山本正紀


はじめに
1.立体道路制度の創設と環状第二号線への適用
2.都施行再開発事業への民間活力の導入
3.環状第二号線新橋・虎ノ門地区再開発事業の計画の変遷
4.道路と建物の重複利用に伴う課題と対応策
おわりに



2.都施行再開発事業への民間活力の導入
2−1 民間活力導入の背景
 再開発事業に民間活力が導入され、公民連携による街づくりが行われるようになった時代背景を確認しておきたい。
 まず、1980年代前半の中曽根アーバンルネッサンス以降、規制緩和と民間活力による都市再開発政策が強力に推進されたことである。従来、少なくとも規模においては大きな割合を占めていた地方公共団体施行の再開発事業は縮小し、件数・規模ともに組合施行等民間再開発事業が主流を占めるようになった。
 さらに1990年代後半から2000年代初頭にかけて、公的住宅(公団・公社・公営)の供給が縮小し、新規住宅市場から事実上撤退したことである。従来は、公募に寄らないで都施行の再開発事業における特定建築者に応募することができた公的住宅建設三者は再開発事業に参画する動機も機会も失った。
 最後に1999年の都市再開発法改正により、従来は保留床のみからなる再開発ビルでのみ特定建築者制度を活用することができたものが、権利床を含む再開発ビルについても特定建築者制度を活用することが可能となった。
 こうして、環状第二号線新橋・虎ノ門地区の再開発事業が事業化する頃までには公民連携によるまちづくりが始動する条件は整っていた。
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まいじょ * 再開発 * 09:38 * comments(0) * trackbacks(0)

道路と超高層ビルの重複利用について はじめに

2017年4月『再開発研究』33号所収
「道路と超高層ビルの重複利用について
〜環状第二号線と虎ノ門ヒルズにおける市街地再開発事業による一体的整備〜」
山本正紀


はじめに
1.立体道路制度の創設と環状第二号線への適用
2.都施行再開発事業への民間活力の導入
3.環状第二号線新橋・虎ノ門地区再開発事業の計画の変遷
4.道路と建物の重複利用に伴う課題と対応策
おわりに



はじめに
 「道路の上に建築してはならない」。都市計画や建築の世界では当然のことである。この通常の考え方を覆し、道路の上下に建築することを例外的に認めたのが立体道路制度である。筆者は、東京都(以下「都」という。)施行の環状第二号線新橋・虎ノ門地区再開発事業で、立体道路制度を適用して道路の上に超高層建物(虎ノ門ヒルズ)を重ねるプロジェクトで計画変更など重要な局面で深く関わってきた。
 この事業の特徴は、第一に立体道路制度を活用した再開発事業であること、第二に公民連携(Public Private Partnership)で事業推進を図ったことである。この2点については、長尾大介氏により詳細な論文 注1 がまとめられている。
 本論も同じ再開発事業について述べるため、上記の2点については重複して触れざるをえない。長尾論文と比較しての本論の特徴をあげるとすれば、々眞浪舛療埒管瑤覇始を整備するために立体道路制度を活用したことに重点をおいたこと、都市計画変更の経緯など事業全体の流れを俯瞰するように努めたこと、8民連携については、長尾論文が特定建築者(民間)の立場からとすれば、本論は施行者(行政)の立場から論じたことである。

注1 長尾大介,虎ノ門ヒルズ:立体道路制度による環状第二号線の一体的整備と官民連携による事業推進について,「再開発研究」No.31,(社)再開発コーディネーター協会,2015,pp60-67

続き 1.立体道路制度の創設と環状第二号線への適用
まいじょ * 再開発 * 09:37 * comments(0) * trackbacks(0)
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