6月21日、渋谷Bunkamuraザ・ミュージアムで「
青春のロシア・アヴァンギャルド シャガールからマレーヴィチまで」展を観てきた。モスクワ市近代美術館のコレクションで、ロシア革命をはさむ1900年頃から1930年代までのロシア・アヴァンギャルドの絵画を中心に展示している。
西欧でも広く知られたシャガールは別として、マレーヴィチやピロスマニ、ゴンチャローヴァといったロシアの画家は、私は名前も知らなかったし、今回初めて観る作品ばかりだった。ロシア・アヴァンギャルドという一世を風靡した芸術運動がいかなるものであったか、絵画におけるロシア・アヴァンギャルドとはどのようなものかを概観するには、ちょうどいい展示だった。音声ガイドと作品についた短い解説の内容が充実していたし、カタログも良かった。
インパクトのあったのは、
マレーヴィチの《農婦、スーパーナチュラリズム》だ。「朝日新聞」の「ののちゃん」のお母さん(まつ子)を思わせるような存在感に圧倒される。時代とともに画風やスタイルが変わっても、描いているものがそれほど変わらないのも面白いと思った。大地や農作業をする人々をモチーフに描きたいという気持ちは、革命とかイデオロギーには関係なく、マレーヴィチの中にいつもあったのだと思う。
私が最も気に入ったのは、
ピロスマニの一連の絵である。特に居酒屋の看板として描かれたこの絵など、何ともいえぬ味がある。日本では加藤登紀子の「百万本のバラ」で歌われた貧しい画家のモデルが、このピロスマニであるとはこの展覧会ではじめて知った。ピロスマニと女優マルガリータをモデルとした歌は、アンドレイ・ヴォズネセンスキーが作詞した「100万本のバラ」(1982)がオリジナルである。
「百万本のバラ」
(日本語歌詞:加藤登紀子 オリジナル作詞:A.Voznesenskij )
小さな家とキャンバス
他にはなにもない
貧しい絵かきが
女優に恋した
大好きなあの人に
バラの花をあげたい
ある日街中の
バラを買いました
百万本のバラの花を
あなたにあなたに
あなたにあげる
窓から窓から
見える広場を
真っ赤なバラで
うめつくして